ねえねえパピちゃん、HPVワクチン接種後に起きる症状ってどんなものがあるのかな?副反応についても気になって。
HPVワクチン接種後に起きる症状を見ていこう。HPVワクチンと関係あるかどうかはまだ証明されていないんだ。
ワクチンを打った後に何か症状が出たらと考えると怖いですよね。
自分の体は勿論怖いですが、それが我が子の体に何か症状が出るとなると親が不安になるのは尚更です。
今回は厚生労働省に報告されている症状を中心に見ていきましょう。
※ 専門的な表現も含まれていますので、分かりづらい表現がありましたら、以下の記事についてもご参照いたければ幸いです。
HPVワクチン接種後に起こりうる症状
ワクチンは種類に関係なく、接種後に様々な症状を来します。 まず、HPVワクチン接種後に見られる主な症状を見ていきましょう。
(1) 副反応と疑われる症状とは?
HPVワクチン接種後に見られる副反応の主な症状として、発熱や接種した接種部位の痛みや腫れが最も良く見られます。
これらはHPVワクチン特有のものでなく、他のワクチンでもよく見られる症状で、注射薬サーバリックス®︎やガーダシル®︎の添付文書にも記載されています。
(2) 接種後に起こす「多様な症状」とは?
一方で、頻度は少ないですがHPVワクチン接種後に「多様な症状」を認めることがあります。
多様な症状とは、主に4つに分けられます1)。
- 知覚の症状:関節痛、感覚の鈍さ、しびれ
- 運動の症状:脱力、歩行困難
- 自律神経の症状:倦怠感、めまい、睡眠障害
- 認知機能の症状:集中力の低下、学習意欲の低下
また、これらの症状は思春期に多い起立性調節障害によく認められる症状と類似していますし、様々な研究から現時点ではHPVワクチン接種との関連を示す「副反応」とは言えません。
ワクチンを接種したら色んな症状が出るんだね。けどこの症状はワクチンと関係があるかはどう評価しているのかな?
HPVワクチン接種後の症状の評価
HPVワクチンの接種後に起きる症状は色々ありますが、それが必ずしもワクチンと関係があるとは限りません。
実際に、多様な症状に関しても様々な調査研究が行われてますが、ワクチンとの因果関係はいまだにはっきりしていません。
日本ではそれら症状の評価に関して、どんな構造になっているか紹介します。
ワクチン接種後の症状の評価構造
日本は予防接種に関して「副反応疑い」がある場合には、それを診察した医師が予防接種との関係が疑わしい症状を国(厚生労働省)に報告して、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構、Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)という組織でまとめて評価を行なっているのです。
これは予防接種法の第十二条に明記されています2)。
この制度の問題点は?
医師が判断して報告するシステムのために、第3者が見た時に有害事象か副反応かわかりにくいという側面があります。
また報道でも「副反応疑い」と紹介されることが多いので、勘違いが多くなるわけです。
こういう仕組みで、ワクチン接種後に起きる症状は吟味されているんだね。
まとめ
この記事ではHPVワクチン接種後に起きる様々な症状を紹介しました。
また副反応か有害事象かを吟味するシステムも紹介しました。
執筆者 医師:今西 洋介
引用文献
2) 厚生労働省.予防接種法