ねえねえみんちゃん。HPVワクチンが子宮頸がんを予防することが確認されたって本当?
そうなんだよパピちゃん!発売から約15年経って、ようやく「がん」を予防する効果が証明されたんだ!
世界で最も信頼されている医学誌の1つであるNEJM(New England Journal of Medicine)から、4価のHPVワクチンは子宮頸がんを予防するという研究結果がついに発表されました1)。
研究結果を詳細に紹介していきます。
※ 専門的な表現も含まれていますので、分かりづらい表現がありましたら、以下の記事についてもご参照いたければ幸いです。
なぜ「HPVワクチンが子宮頸がんを予防する」ことはまだ証明されていなかったのか
子宮頸がんは2つの意味で珍しい病気です。1つ目は、95-99%はHPVというウイルスの感染が原因であることです2,3)。
そして、もう1つは異形成と呼ばれるがんの前段階の病変が存在することです2)。
これまでの研究では、HPVワクチンを打つことでHPV感染やがんの前段階を予防することは確認されてきたのですが、子宮頸がんそのものを防いだという報告は十分ではありませんでした4,5)。
子宮頸がんに最もなりやすいのは25-49歳であるため、10代でワクチンを打ってから効果を確認するまで長い期間の観察が必要だったのです。
4価のHPVワクチンは子宮頸部浸潤がんのリスクを63%下げる
今回の研究では2006年から2017年のスウェーデンの全国民のデータベースを用いて、10-30歳の女性約167万人を調査しました1)。
4価のHPVワクチンを少なくとも1回接種し約53万人と、HPVワクチンを接種しなかった約115万人において、子宮頸部浸潤がんの発症を比較しています。
年齢や教育水準、収入、母親の子宮頸部異形成などの要因を調整した結果、4価のHPVワクチンは子宮頸がんのリスクを約63%下げる(リスクが約1/3になる)ことがわかりました。
すごいね!HPVワクチンは63%もの子宮頸がんを防いでくれるんだね!
HPVワクチンは年齢が低いうちに打った方が効果が高い
今回の研究でもう1つわかったことは、年齢が低いうちに打った方が効果が高いということです。
17歳未満で接種した人の中で子宮頸部浸潤がんを発症したのは全部で2人だけであり、リスクは88%も減っているとされています。
一方で、17-30歳以上で接種した人も、53%は防ぐことができています。
HPVワクチンはHPV感染を予防するものであり、感染したHPVを治療する効果はありません。
HPVワクチンで予防できる型の全てに感染している人は少ないはずで、初交後も効果はあると考えられますが、できれば性交渉が始まる前に接種しておくことが望ましいです。
まとめ
4価のHPVワクチンが子宮頸がんの発症を防ぐという質の高い研究結果が発表されました。
性交渉が始まる前に接種しておくことが望ましいと考えられます。
HPVワクチンはやっぱり子宮頸がんを予防することができるんだね!
そうだね!早めに打っておいた方が効果が高いことを知っておくのも大切だね!
執筆者 医師:木下喬弘