ねえねえパピちゃん。HPVワクチンって全部で何種類あるの?
実は3種類のワクチンがあるんだよ。でも、今のところ日本で無料で打てるのは主に1種類だけなんだ。
本記事では、現在日本で承認されている3種類のHPVワクチンの違いについてわかりやすく解説します。
※ 専門用語について正しく知りたい人は、以下の記事も読んでみてください。
HPVワクチンには2021年現在、3種類が存在します
HPVワクチンには、
- 2価
- 4価
- 9価
の3種類があります。
この『価』というのは、『何種類のHPV型の感染を予防できるか』という意味です。
- 2価はHPV 16, 18
- 4価はHPV 6, 11, 16, 18
- 9価はHPV 6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58
の感染を予防することができます。
※ 2021年11月現在、2価HPVワクチンは日本では新規供給がなされない見込みとなっています。これから接種を開始される場合は、4価か9価のいずれかとなります。
へー。3種類のワクチンがあるんだね。効果や安全性にも違いがあるの?
HPVワクチンの種類によって効果に違いはあるの?
2価で予防できるのは、子宮頸がんの原因として最もハイリスクのHPV 16, 18で、子宮頸がんの原因HPVのうち約6~7割の感染を予防できます。
4価は、2価に加えて、尖圭コンジローマの原因となるHPV 6, 11型の感染を予防できます。
9価は、4価に加えて、子宮頸がんの原因となりうるHPV型をさらに5種類予防できるため、子宮頸がんの原因HPVのうち約9割の感染を予防できるといわれています。
病気の予防という意味では、16歳までに4価HPVワクチンを接種することで子宮頸がんを88%予防することができます。
9価HPVワクチンの方が新しいため、子宮頸がん予防効果のデータはまだでていませんが、4価よりもより予防効果が高いことが予想されます。
HPVワクチンの種類によって安全性に違いはあるの?
HPVワクチンの3種類とも、安全性を確認された上で承認されており、また、世界中で使用されています。
9価は日本では承認されたばかりですが、2価、4価については、報告されている有害事象に差はありません。
HPVワクチンの種類によって価格に違いはあるの?
2価と4価は、定期予防接種で接種することができ、定期予防接種の対象年齢であれば原則無料で接種できます。
定期予防接種の対象外で自費で接種する場合、2価と4価は同じ価格で、3回合計で約5万円です。
9価は、定期予防接種の対象となっていないため、年齢にかかわらず自費での接種となり、3回合計で約10万円です。
HPVワクチンって種類が3つあって、数字が大きいほど効果が大きいんだね!
そうだね。早く9価のHPVワクチンも無料で打てるようになればいいね。
まとめ
HPVワクチンには3種類ありますが、日本で2021年現在、定期予防接種の対象者が無料で接種できるのは4価です。9価の方が有効ではありますが、16歳までに4価を接種することで子宮頸がんを88%予防することができます。
執筆者 医師:稲葉 可奈子
引用文献
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※ 2022/4/18 内容を更新しました。