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HPVワクチンの複数の種類について、それぞれの違いを解説します

CATEGORY:HPVワクチンについて知りたい方

投稿日時2020.08.13

更新日時2022.04.18

執筆者 医師:稲葉可奈子

みんちゃん

ねえねえパピちゃん。HPVワクチンって全部で何種類あるの?


パピちゃん

実は3種類のワクチンがあるんだよ。でも、今のところ日本で無料で打てるのは主に1種類だけなんだ。


本記事では、現在日本で承認されている3種類のHPVワクチンの違いについてわかりやすく解説します。

※ 専門用語について正しく知りたい人は、以下の記事も読んでみてください。

HPVワクチンには2021年現在、3種類が存在します

HPVワクチンには、

  • 2価
  • 4価
  • 9価

の3種類があります。

この『価』というのは、『何種類のHPV型の感染を予防できるか』という意味です。

  • 2価はHPV 16, 18
  • 4価はHPV 6, 11, 16, 18
  • 9価はHPV 6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58

の感染を予防することができます。

2021年11月現在、2価HPVワクチンは日本では新規供給がなされない見込みとなっています。これから接種を開始される場合は、4価か9価のいずれかとなります。

みんちゃん

へー。3種類のワクチンがあるんだね。効果や安全性にも違いがあるの?

HPVワクチンの種類によって効果に違いはあるの?

2価で予防できるのは、子宮頸がんの原因として最もハイリスクのHPV 16, 18で、子宮頸がんの原因HPVのうち約6~7割の感染を予防できます。

4価は、2価に加えて、尖圭コンジローマの原因となるHPV 6, 11型の感染を予防できます。

9価は、4価に加えて、子宮頸がんの原因となりうるHPV型をさらに5種類予防できるため、子宮頸がんの原因HPVのうち約9割の感染を予防できるといわれています。

病気の予防という意味では、16歳までに4価HPVワクチンを接種することで子宮頸がんを88%予防することができます。

9価HPVワクチンの方が新しいため、子宮頸がん予防効果のデータはまだでていませんが、4価よりもより予防効果が高いことが予想されます。

 

HPVワクチンの種類によって安全性に違いはあるの?

HPVワクチンの3種類とも、安全性を確認された上で承認されており、また、世界中で使用されています。

9価は日本では承認されたばかりですが、2価、4価については、報告されている有害事象に差はありません。

 

HPVワクチンの種類によって価格に違いはあるの?

2価と4価は、定期予防接種で接種することができ、定期予防接種の対象年齢であれば原則無料で接種できます。

定期予防接種の対象外で自費で接種する場合、2価と4価は同じ価格で、3回合計で約5万円です。

9価は、定期予防接種の対象となっていないため、年齢にかかわらず自費での接種となり、3回合計で約10万円です。

みんちゃん

HPVワクチンって種類が3つあって、数字が大きいほど効果が大きいんだね!


パピちゃん

そうだね。早く9価のHPVワクチンも無料で打てるようになればいいね。



まとめ

HPVワクチンには3種類ありますが、日本で2021年現在、定期予防接種の対象者が無料で接種できるのは4価です。9価の方が有効ではありますが、16歳までに4価を接種することで子宮頸がんを88%予防することができます。

執筆者 医師:稲葉 可奈子

稲葉 可菜子

 

引用文献

  1. Stanley M, Lowy D, Frazer I: Prophylactic HPV vaccines: underlying mechanisms. Vaccine 24:S106-S113, 2006
  2. FUTURE II Study Group. Quadrivalent vaccine against human papillomavirus to prevent high-grade cervical lesions. N Engl J Med 356: 1915-1927, 2007.
  3. Paavonen J, et al: HPV PATRICIA Study Group. Efficacy of human papillomavirus (HPV)-16・18 AS04-adjuvanted vaccine against cervical infection and precancer caused by oncogenic HPV types (PATRICIA):final analysis of a double-blind, randomized study in young women. Lancet 374: 301-314, 2009.
  4. Cameron RL, et a: Human papillomavirus prevalence and herd immunity after introduction of vaccination program, Scotland, 2009-2013. Emerg Infect Dis 22: 56-64, 2016.
  5. Palmer T, et al: Prevalence of cervical disease at age 20 after immunization with bivalent HPV vaccine at age 12-13 in Scotland: retrospective population study. BMJ 365: 1161, 2019.
  6. Kudo R, et al: Bivalent Human Papillomavirus Vaccine Effectiveness in a Japanese Population: High Vaccine-Type-Specific Effectiveness and Evidence of Cross-Protection. J Infect Dis 219: 382-390, 2019.
  7. N Engl J Med 2020; 383:1340-1348.

※ 2022/4/18 内容を更新しました。

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