HPVワクチンは初めての性交渉の前に接種することが推奨されていますが、すでに性交渉の経験がある方についてはどうなのか、分かりやすく説明します。
※ 専門的な表現も含まれていますので、分かりづらい表現がありましたら、以下の記事についてもご参照いたければ幸いです。
HPVワクチンは初めての性交渉より前に接種すると最も効果的
ヒトパピローマウイルス(HPV)には、様々な種類(型)があります。
HPVワクチンは、その中の特定の種類のHPV感染を防ぐことができますが、これには「初めてその種類のHPVウイルスに感染する前に接種しておく」ことが必要です。
HPVワクチンの基本については以下の記事をご参照ください。
» HPVワクチンってなに?
また、HPVに感染してしまった状態をワクチンで治すことはできません1)。
性活動を開始するとHPVに感染する可能性が誰にでもありますので、初めての性交渉を持つ前にHPVワクチンを接種することが理想的です。
性交渉の経験があっても、HPVワクチンによる感染予防効果はある程度期待できます
性交渉の経験がある方は、すでにいずれかの種類のHPVに感染している可能性があります。
そのため、HPVワクチン接種で得られる効果が下がってしまう可能性があります。
しかし、一人の人がHPVワクチンでカバーできる全ての種類のHPVに感染している状態はまれです2,3)。
そのため、すでに性交渉の経験があっても、ほとんどの人がワクチンによる予防効果を得られると考えられています。
27歳から45歳の女性は医師に相談の上で接種をするかを決めましょう
今までの研究の結果から、HPVワクチンは26歳以下のすべての女性に薦められています4)。
27〜45歳の女性では、HPV16、18型に関連した子宮頸がんの前がん病変に対するHPVワクチンによる予防効果は証明されていますが、年齢が高くなるほどワクチンで防げるHPVの型にすでに感染している可能性が高まります。
このため、27歳から45歳でHPVワクチンを接種していない人は、医師との相談の上で接種を検討することが勧められています4)。
日本では46歳以上の方の接種は推奨しないとされています。
※定期接種でHPVワクチンを打つ場合以外は、接種費用は自費になります。
» HPVワクチン(定期予防接種)の対象年齢と接種回数について
執筆者 医師:三ッ浪真紀子
まとめ
性交渉の経験がないときにHPVワクチンを打つのが理想ですが、経験がある場合は年齢に応じてHPVワクチンを打つメリットデメリットを考慮して、接種を行うか決めましょう。