HPVワクチンさえ接種してしまえば、その後の子宮頸がん検診を受ける必要はないのかな?
いいや、答えは「検診も定期的に受けた方が良い」なんだよ。その理由をわかりやすく説明するね。
HPVワクチンの接種が、子宮頸がんの予防に最も有効な手段であることは世界的に認められています。
では、HPVワクチンさえ接種してしまえば、その後の子宮頸がん検診を受ける必要はないのでしょうか?
答えは「検診も定期的に受けた方が良い」です。その理由をわかりやすく説明します。
※ 専門用語について正しく知りたい人は、以下の記事も読んでみてください。
HPVワクチンの予防効果は高いものの、100%ではありません
HPVワクチンは、4価のものではハイリスクHPVの60-70%、9価のものでは90%程度(日本人の場合)の感染を予防すると考えられており1)、子宮頸がんに対するとても有効な予防手段です。
ただし、100%予防ができるわけではありませんので、「ワクチンさえ接種すれば絶対に安心」とは言いきれません。
以下の記事もぜひご覧ください。
» HPVワクチン(定期予防接種)の対象年齢と接種回数について
HPVワクチン接種に加え、子宮頸がん検診による早期発見が大切です
ワクチン接種で子宮頸がん発症のリスクを大きく減らせることは確かですが、残念ながら100%予防できるわけではないため、「早期発見」への工夫を組み合わせることが大事になってきます。
早期発見に最も有効なのは、定期的な「子宮頸がん検診」です。その有効性は科学的に認められているため、日本でも「20歳以上の女性は2年に1回の検診」が推奨されています。
なお、ほとんどの市町村では、がん検診の費用の多くを公費で負担しており、無料または一部の自己負担で検診を受けることが出来ます2)。
検診は、子宮頸がんの前段階である前がん病変の発見にもつながります
検診は、子宮頸がんだけではなく、その前段階である前がん病変の発見にもつながります。
前がん病変のうちに発見できれば、早期の治療でがんへの進行を防ぐこともできますし、子宮摘出など大きな負担のかかる手術を避けることができる可能性もあるのです。
そう聞くと、「検診を受けていればワクチンを接種しなくてもいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ワクチンと検診の組み合わせを推奨する理由がきちんとあります。以下の記事 で解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
» 子宮頸がん検診による早期発見、ワクチンによる予防、両方大切です
子宮頸がんの予防に最も効果的なのは「HPVワクチン接種+子宮頸がん検診」の組み合わせ!
これまでに述べてきた理由から、子宮頸がんの予防には
- HPVワクチン接種
- 定期的な子宮頸がん検診
を組み合わせることが一番効果的です。
ワクチンは定期接種の対象年齢であれば無料ですし、その後の子宮頸がん検診も、無料または一部の自己負担のみで受けることができます。
つまり、日本ではきちんと情報さえ知っておけば、「ワクチンから検診までほとんどが無料で受けられる」状況であり、大変恵まれた環境と言えるでしょう。
まとめ
「HPVワクチン接種+子宮頸がん検診」が、子宮頸がんの予防に最も効果的です。子宮頸がん検診は、20歳以上の全ての女性は2年に1回受けることが推奨されています。検診の費用の補助もしっかり整備されていますので、忘れずにお住まいの自治体等に確認してくださいね。
「HPVワクチン接種+子宮頸がん検診」が、子宮頸がんの予防に最も効果的なんだね。
費用の補助もしっかり整備されているから、忘れずに確認してくださいね。
執筆者 医師:重見 大介
引用文献
- Stanley M, Lowy D, Frazer I: Prophylactic HPV vaccines: underlying mechanisms. Vaccine 24:S106-S113, 2006
- 厚生労働省. がん検診.
※ 2021/12/12 内容を更新しました。