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HPVワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより、1学年あたり4500人以上が将来子宮頸がんになるという研究が発表されました

CATEGORY:HPVワクチンについて知りたい方

投稿日時2020.10.23

更新日時2021.06.07

執筆者 医師:木下 喬弘

みんちゃん

厚生労働省がHPVワクチンのお勧めをやめちゃったことで、子宮頸がんの患者さんって増えちゃうのかな?


パピちゃん

そうなんだ。実は1学年あたり4500人以上の女の子が、子宮頸がんになってしまうと予測されているんだよ。




大阪大学の研究グループから、「厚生労働省によるHPVワクチンの積極的接種勧奨の差し控えにより、将来の子宮頸がん患者が1学年あたり4500人以上増加する」という論文が発表されました 1)

※ 専門的な表現も含まれていますので、分かりづらい表現がありましたら、以下の記事についてもご参照いたければ幸いです。

 

将来子宮頸がんになる人数は予測することができる

子宮頸がんのリスクは、主に子宮頸がん検診を受けるかどうかと、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染する前にHPVワクチンを接種するかどうかによって決まります。

もし今後も子宮頸がん検診を受ける人の割合や性交渉の開始年齢・頻度などが今までと変わらなければ、HPVワクチンを接種した人の割合によって、将来子宮頸がんになる人数を予測することができます

日本では、1999年度生まれの女性のHPVワクチンの接種率は68.9%でした。

2013年に積極的接種勧奨が差し控えられたため、2000年度生まれの女性の接種率は14.3%、2001年度以降に生まれた女性の接種率はほぼ0%になっています。

今回の研究では、接種率の低下によってどれだけ将来子宮頸がんになる人数が増えるかを予測しました。

みんちゃん

なるほど。HPVワクチンを打った人がどれだけ減ったかを調べると、これから子宮頸がんになってしまう人の数がわかるんだね。



接種率が激減したことにより、1学年あたり4500人以上もの子宮頸がん患者が増加します

本研究の結果、接種率がほぼ0%であった2001~2003年度に生まれた女性について、接種率が維持された場合と比較して、4500人以上もの防げるはずの子宮頸がん患者さんが増加することが予測されました(図:文献1より改変、黒色棒グラフ)。

2003年度生まれの女性については公費接種期間が終わってしまっているので、2020年度中に積極的な勧奨が再開されても、残念ながらこの数値は変わりません。

2004年度生まれの女性については、もう既に性交渉を経験している人もいるため、274人が子宮頸がんを発症すると考えられます(黒色棒グラフ)。

一方で、4387人の女性は2020年度中にHPVワクチンを接種することで、子宮頸がんの発症を防ぐことができると予測されます(緑色棒グラフ)。

2005年度生まれの女性については、既に感染していると予測されるのが110人(黒色)、2020年度中に接種することで防げるのが165人(緑色)、2021年度中に接種することで防げるのが4394人と予測されます。

2004年度生まれの女性については、積極的な勧奨の再開が1日遅れる毎に将来子宮頸がんになる患者が12人増えると予測されています。

 


HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診により、この人数は減らすことができます

日本では、20代の女性の子宮頸がん検診の受診率はわずか26%とされています。子宮頸がん検診はHPVワクチンと違って感染の予防はできませんが、前がん病変というがんになる手前の状態で治療を行える可能性があります。

HPVワクチンを接種していない女性はもちろんのこと、HPVワクチンを接種した女性にとっても、子宮頸がん検診はとても大切です。

詳しくはこちらの記事をお読みください。
» HPVワクチンを接種しても検診が必要なのはなぜ

また、公費接種が終わってしまった年齢の女性も、今からHPVワクチンを接種することで、子宮頸がんのリスクを下げることができるのです。

性交渉の経験がない方が効果が高いですが、性交渉を経験していたとしても、一定の予防効果が期待できます。

この場合HPVワクチンの種類によらず自費での接種になってしまうので、9価のHPVワクチンがよいのではないかと思います。

詳しくはこちらの記事をお読みください。
» 性交渉の経験があってもHPVワクチンを打った方がいいですか?

2004年度以降に生まれた女性については、公費の期間(小学6年生~高校1年生)を逃さずHPVワクチンを接種すること、2003年度以前に生まれた女性については、早めにHPVワクチンの接種を済ませることが大切です。

また、HPVワクチンの接種に関わらず、子宮頸がん検診も忘れずに受けるようにしてください。

 

まとめ

日本では、HPVワクチンの接種率が激減してしまったことにより、将来の子宮頸がんのリスクが増加しています。

早期の接種率の回復と、定期的な子宮頸がん検診の両方が大切です。

みんちゃん

HPVワクチンを打つ人が減っちゃったことで、すごくたくさんの人が子宮頸がんになってしまうかも知れないんだね…。


パピちゃん

そうだね。でも今からでもHPVワクチンを打つことと、20歳を超えたら忘れずに子宮頸がん検診にいくことで、予防できるがんは多いんだよ。この2つをみんなに知ってもらわないとね。



執筆者 医師:木下喬弘

木下喬弘

引用文献

  1. Sci Rep. 2020;10:15945.