ねえねえパピちゃん。HPVワクチンって男の子も打った方がいいって本当?
よく知ってるねみんちゃん!実は男の人に起こるがんも防ぐんじゃないかって言われてるんだよ。
HPVワクチンは女性が接種するもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、実は男性にも深く関係があるのです。男性もHPVワクチンを接種した方がよい理由とともに、他国の接種状況や費用について解説します。
※ 専門用語について正しく知りたい人は、以下の記事も読んでみてください。
男性にとっても大切なHPVワクチンの効果とは
HPVは、男性もかかる病気(中咽頭がん、肛門がん、尖圭コンジローマなど)の原因になります。
HPVワクチンを接種することにより、それらの病気の予防することができます。
特に中咽頭がんは重要で、アメリカでは、HPVが原因となるがんのうち、男性の中咽頭がん(年間12,638人)は女性の子宮頸がん(年間11,771人)よりも多いという報告もあります1)。
また、HPVの感染は性交渉が原因の場合がほとんどです。
そのため、女性のみならず男性もHPVワクチンを接種することにより、感染が広がることが効果的に予防できて、集団全体のHPV感染率が下がっていく『集団免疫』も期待できます。
男性がHPVワクチンを接種することは、HPV感染や将来引き起こされるがんから自分を守ることができるだけでなく、大切なパートナーを病気から守ることにもなります。
詳しくはこちらの記事もご参照下さい。
男性のHPVワクチンは他国でどのぐらい接種されているか
こういった病気を予防するために、アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダなどでは、政府が女性だけでなく男性へのHPVワクチン接種を推奨しています。
オーストラリアでは88%、アメリカでは64%の男性がHPVワクチンを接種しています2)。
このように、いくつかの先進国では男性へのHPVワクチンの接種が当たり前になりつつあるのです。
4価HPVワクチン(ガーダシル)の男性への接種が、2020年12月に日本でも承認
HPVワクチンの適応は、日本ではこれまで9歳以上の女性のみでしたが、2020年12月25日に4価HPVワクチン(ガーダシル)の9歳以上の男性への適応にも厚生労働省による承認がおりました。
これまでも日本でHPVワクチンを接種した男性はいますが、あくまで適応外の形での接種でした。
なお、適応外での接種であっても、接種されるワクチンは全く同じものです。
※ HPVワクチンの適応とは?
男の子がHPVワクチンを接種する際にかかる費用と接種出来る医療機関について
日本では現状、小6~高1の女子のみが定期接種の対象となっており、無料で接種することができます。
一方で、男子はまだ定期予防接種の対象ではありません。
「適応」なのに「定期接種」ではないというのは、少しわかりにくいですね。
一番大きな違いは、定期接種のワクチンは対象年齢であれば無料で受けることができるが、適応があるだけだと自費接種になってしまうということです。
このため、男性の場合は年齢にかかわらず全額自費となります(全3回で計5~6万円)。
ここ数年で男性への接種を認める病院やクリニックが増えてきました。
接種を希望する男性やその保護者の方は、お近くの内科や小児科に問い合わせてみてください。
また、産婦人科でも男性のHPVワクチン接種ができる場合もあります。
もし近くで男性接種をやっている内科・小児科のクリニックがない場合、産婦人科に聞いてみるのもいいでしょう。
まとめ
HPVワクチンは、男性にも起こる様々ながんの予防や、尖圭コンジローマの予防、そして大切なパートナーを守ることにつながります。現状男性への接種は自費になりますが、内科、小児科、産婦人科などで接種が可能な場合がありますので、是非問い合わせてみてください。
HPVワクチンって女の子が打つものだと思ってたけど、男の子も女の子も打った方がいいんだね!
そうなんだよ。みんながワクチンを打つことで、たくさんの人を病気から守ることができるんだよね。
執筆者 医師:木下喬弘
参考文献
1)Centers for Disease Control and Prevention.
2)World Health Organization. Immunization, Vaccines and Biologicals.
※ 2021/12/11 内容を更新しました。