「HPVワクチン」と「子宮頸がんワクチン」て両方よく聞くけど、どう違うのかな?
「HPVワクチン」は、「子宮頸がん(予防)ワクチン」と呼ばれることもあって、同じワクチンのことだよ。
「HPVワクチン」と「子宮頸がんワクチン」は同じものです。
日本では「子宮頸がんワクチン」とも呼ばれるため、女性のみを対象としたワクチンと思われることがありますが、子宮頸がんだけでなく、中咽頭がんや肛門がん、尖圭コンジローマなど、男性もかかりうるHPV感染に関連した病気全般を防ぐことができる、だれにとっても大事なワクチンです。
「HPVワクチン」と「子宮頸がんワクチン」は実際になにか違いがあるのでしょうか?
「HPVワクチン」も「子宮頸がんワクチン」も呼び名が違うだけで同じワクチンのことを意味していますが、「HPVワクチン」が一般的な名称です。
HPVワクチンはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によりひきおこされる様々な病気を予防するためのワクチンです。
HPV感染が原因となる病気のうち代表的なものが子宮頸がんであるため、「子宮頸がんワクチン」と呼ばれることもありますが、子宮頸がん予防のためだけではないこと、男性もかかる病気を予防することもできることから、「HPVワクチン」という名称が主流となっています。
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なぜ「子宮頸がんワクチン」と呼ばれることがあるの?
HPV感染症に関連した病気の中で、日本では子宮頸がんが一番多いため、HPVワクチンの最大の目的が子宮頸がん予防であること、また、ワクチンでがんを防げるということを伝えるために、「子宮頸がんワクチン」と呼ばれるようになったと考えます。
日本では毎年約1万人が子宮頸がんと診断され、毎年約2800人が子宮頸がんで亡くなっています。若い世代に多いがんでもあり、ワクチンによる予防も非常に重要です。
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HPVワクチンは男性にも女性にも有効なワクチン
HPVワクチンは子宮頸がん以外にも、腟がん・外陰部がん・肛門がん・中咽頭がんの予防効果も期待されています。
また、尖圭コンジローマという性感染症の予防効果もあります。つまり、男性にも女性にも有効なワクチンなのです。
実際に40ヶ国以上で男子にも公費助成があり、日本ではまだ男子には助成はありませんが男性も適応にはなっています。
「子宮頸がんワクチン」という名称では子宮頸がん以外にも効果があることが伝わりにくいため、「HPVワクチン」という名称が一般的に使用されています。
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まとめ
「HPVワクチン」と「子宮頸がんワクチン」は同じものを意味していますが、「HPVワクチン」が一般的な名称です。HPVワクチンは子宮頸がん以外にもHPV感染による病気を防ぐことができる、男性にも女性にも有効なワクチンです。
執筆者 医師:三ッ浪真紀子